間引き菜を食した。


春巻きの種を苗に仕立てる際には間抜する。
条植えの種が芽を吹いて、最初は一筋に並んだ芝のような状態で間引く。
間引き菜として食べるのは二回目、三回目の間引いた時の菜っ葉だ。
 
今回の間引き菜は人参菜。
人参の苗を仕立てる際に間抜されたものだ。
近所のニチエーというスーパーの「ごめんね市」とかで、時々出てくる。
どうやら三回目の間引きらしく、少し大きな苗も混ざっていた。
 
これをボウルに水を溜めて洗う。
土から抜いてきたのだから土がたくさん着いている。
それを何度も何度も洗って少なくする。
着いている土を全て取り除く事は出来ないし、そんな事をするつもりもない。
 
ただ、洗って少なくする。
汚いからじゃあない。
歯触りを良くするためだ。
 
砂が舌や歯に当たったら気分が途切れるから。
 
これを塩茹でする。
たっぷりのお湯を吹くぐらいに沸かして、蓋を取る瞬間に全部ぶち込んで蓋をする。
 
スグに沸き上がってくるから、吹きこぼれないように蓋を取って少しだけ湯がく。
やっぱり人参なんだから、アクが強い。
お湯が一瞬で緑色に染まるくらいに。
 
少し湯がいて、柔らかくなり過ぎないうちにザルに打ち上げ、水にさらす。
アクが強かったので二回さらした。
 
クルミの種が割れたような形・・と言う事で何とかという名前が付いていたのだが、草色の器に盛って削り節を掛ける。
噛みしめた瞬間に、峻烈な香りが味覚を刺激する一皿だった。