たかがタバコ。されどタバコ。

うちの会社の前の道は人通りが少ない。
しかし近所に公立の中学校と高校があるせいか、学生がよく歩いて通る。
 
昨日の夕方は五時も過ぎれば夕暮れ時は薄暗かった。
その頃の時間帯はロマンチックでデートにはもってこいという感じだった。
事実、若い学生のカップルが仲良く並んで歩きながら通りかかった。
 
と、その時「カチッ」というライターの音。
途端に嫌な気分に襲われる。
学生はタバコを吸いつけたところだった。女生徒も良く見れば片手にタバコを燻らせている。
そこはかとなく漂う悪臭が私の気分をさらに苦くした。
 
二人はのうのうと通り過ぎるところだった。
私は二人の後姿に罵声を浴びせるしかなかった。
 
毎日のように捨てられる吸殻の何割かは学生が捨てていると確信するしかなかった。
数本ずつでも、拾う時には手が臭くなるのが苦痛なのだが、捨てる方は軽い気持ちらしい。
一本あると二本目三本目と増えるので、小まめに拾うしかない。
彼等の健康は悪化して欲しいぐらいだが、風紀の乱れと言うより将来の治安の悪化が心配になる現象でもある。
現実問題として火事を出されてはたまらない。
 
翌朝、私は二つある学校に連絡した。
高校の方は「またか」といった感じだった。危機意識は薄いようだ。
数年前にタバコだらけだった高校が、この地区から消えた前例もある。
某大企業の偉いさんをして「あそこの生徒だけは要らない。」と人手不足の時代にさえ言わしめた高校だった。
県立高なので職員は転勤するだけだからかもしれない。
 
中学校の方は真剣に取り組んでいるようだ。担当が真面目な人らしい。
 
彼等はいずれペナルティーを受けるだろう。
どのような形でも、成年にとっては合法とは言え、若い頃から麻薬に手を染めて何も無いわけにはいかない。
自らの悪臭に昔とは比較にならないほど重いペナルティーが必ず付属する、とは思っていないようだ。
浅はかな若者たちに、知能の低下を実感せざるを得なかった。
だから早く一箱千円になって欲しいんだって。